周年事業・周年ブランディング完全ガイド｜アイデアから進め方までを解説

企業にとって「創業〇〇周年」「設立〇〇周年」という節目は、これまでの歩みを振り返り、未来への一歩を力強く踏み出すための大切な機会です。単なるお祝いのイベントとしてではなく、企業のブランド価値を再定義し、社内外のステークホルダーとの絆を深めるための重要な戦略として捉えることが、周年事業を成功させる鍵となります。
この記事では、周年事業を「単発の行事」「一過性のイベント」ではなく「周年ブランディング」として捉え、その目的から具体的な施策アイデア、そして成功へと導くための進め方までを、専門的な視点から徹底的に解説します。これから周年事業の担当になる方、すでに企画を進めている方も、ぜひ本ガイドを参考にしてみてください。

周年事業・周年ブランディングとは？

周年事業とは、創業や設立から節目となる年に実施する記念行事や施策全般を指します。単なる祝賀会や記念イベントではなく、企業の歴史を振り返り、未来への展望を内外に発信する重要な機会になり得ます。
特に、近年注目されているのが「周年ブランディング」という考え方。これは、周年事業を単発のイベントで終わらせず、企業のブランドイメージを再定義し、社内外のステークホルダーとの絆を強化する中長期的な戦略として捉えるものです。社名ロゴのリニューアルや理念の再浸透、ミッション・ビジョン・バリューの再定義、社会貢献活動などを通じて、企業の存在価値を高め、次の成長に向けた基盤を築くことを目指します。周年事業は、単なるお祝いではなく、企業が自社のブランドを磨き直し、社会との関係性を再構築する絶好のチャンスであることを意識しましょう。

目的/パターン別の周年事業・周年ブランディング

周年事業・周年ブランディングは、やる目的や企業特性によって取り組む目的やポイントが異なります。ここからは、目的/パターン別のポイントをご紹介したします。

社外向け
顧客や取引先、株主など、企業の外部に向けた周年事業は、感謝の気持ちを伝え、今後の関係性をさらに強化することを目的とします。
長年のご愛顧に感謝を伝える記念キャンペーンや、ブランドの信頼性・革新性をアピールする記念商品/サービスなどの開発・販売が有効です。また、企業の歴史や成長を伝える記念式典や感謝祭の中で、企業が目指す今後の目標や将来的な展望などのビジョンを示すことで、ステークホルダーとの絆をより深めることにもつながります。これらの施策を通じて、企業の信頼性向上やブランドイメージの刷新（リブランディング）を図れば、新たな顧客層を獲得する可能性も広がります。

社内向け
従業員のモチベーション向上と帰属意識の醸成を目的とした周年事業は、企業の持続的な成長に不可欠です。
これまでの貢献に対する感謝を伝え、企業の歴史や理念を再認識させることで、チームの一体感を高めます。記念式典や社員旅行、部署対抗のスポーツイベントなどは、従業員間のコミュニケーションを活性化させる良い機会です。また、これまでの歩みをまとめた記念誌や記念動画を制作し、社史を共有することで、従業員一人ひとりが企業の歴史の担い手であるという意識を育むことができます。さらに、企業が目指す未来像を明確化して共有し、同じ目標に向かって共に進んでいこうという共感を得ることで、従業員のエンゲージメントが高まり、生産性向上や離職率の低下にも効果的です。

B to C企業
一般消費者向けのビジネスを展開するB to C企業にとって、周年事業はブランドの認知度向上や売上拡大の絶好の機会です。
テレビCMやSNSを活用した大規模なキャンペーンや、周年を記念した限定商品の開発・販売が効果的です。特に、消費者参加型のキャンペーン企画やイベントの実施は、話題性を生み出し、ブランドへの愛着を育むことができます。また、SNSで企業の歴史や裏話を発信することで、ブランドのストーリー性を強化し、ファンの囲い込みやエンゲージメントの深化も可能です。

B to B企業
企業間の取引を主とするB to B企業では、顧客やパートナー企業との関係強化が主な目的となります。これまでの協力への感謝を伝える招待制の記念パーティーや展示会は、深い信頼関係を築く上で非常に重要です。また、会社の歴史や技術の進化をまとめた記念誌や動画を制作し、事業の安定性や将来性をアピールすることも効果的です。これにより、企業の信頼性を高め、長期的なパートナーシップの継続につながります。

周年事業・周年ブランディングの施策アイデア

周年事業・周年ブランディングを実際に進めるときの代表的な施策をご紹介いたします。

式典・パーティーの開催
式典やパーティーは、周年事業の代表的な施策です。社内向けには、従業員の労をねぎらい、感謝を伝える場として、盛大なパーティーや社員総会を企画します。社外向けには、顧客や取引先、株主を招いて、これまでの感謝と今後の展望を伝える記念式典を開催します。これにより、ステークホルダーとの絆を深め、ブランドイメージを高めることができます。

ノベルティ制作
周年を記念したノベルティグッズは、受け取った人の手元に残り、企業の存在を長く印象づけることができます。ロゴやスローガンを配した記念品は、従業員の帰属意識を高めるだけでなく、社外のステークホルダーへの感謝の気持ちを形にして伝えることができます。実用性の高いアイテムや、デザイン性に優れたアイテムは、企業のブランドイメージを効果的にアピールするツールとなります。

動画制作
企業の歴史や社員の想いを伝える記念動画は、視覚的にメッセージを伝えることができる強力なツールです。創業からの歩み、事業の変遷、未来へのビジョンなどをストーリー性を持たせて制作することで、視聴者の心に深く響く感動体験を提供できます。ウェブサイトやSNS、式典での上映など、様々な場面で活用でき、企業のブランドイメージをより深く理解してもらうことができます。

周年ロゴ制作
周年を機に、新しいロゴやロゴマークを制作することは、企業のリブランディングにおいて重要な施策です。周年ロゴは、企業の節目を象徴するだけでなく、未来に向けた企業の決意や方向性を示します。名刺やウェブサイト、記念品など、様々なアイテムにこのロゴを使用することで、周年事業の一貫性を生み出し、ブランドイメージの刷新を効果的にアピールすることができます。

周年サイト制作
周年事業に関する情報を集約した特設ウェブサイトは、社内外のステークホルダーに周年事業の目的や内容を共有する上で非常に有効な手段です。企業の歴史や未来への展望を掲載することで、ブランドのストーリー性を強化します。また、記念動画や社員のインタビュー記事、周年イベントのレポートなどを掲載することで、企業の魅力を多角的に発信し、エンゲージメントを高めることができます。

スローガンやメッセージの作成
周年事業の目的を凝縮したスローガンやメッセージは、事業全体の一貫性を生み出す羅針盤となります。従業員のモチベーション向上や、社外へのメッセージを端的に表現することで、周年事業の成功に向けた共通認識を醸成します。このスローガンは、記念品やウェブサイト、イベントなど、すべての施策に一貫して使用することで、企業のブランドイメージを強力に推進します。

周年事業・周年ブランディング成功のポイント

周年事業を成功へと導くためには、入念な準備と計画、そして目的の一貫性が不可欠です。以下に、特に重要となるポイントを解説します。

目的の明確化
周年事業を始める前に、「誰に、何を伝えたいのか」を明確に定義することが、成功の第一歩です。目的が定まれば、施策の選択やメッセージに一貫性が生まれ、軸がぶれることなくプロジェクトを進められます。

全社的な巻き込み
周年事業は、一部の担当者だけでなく、全社員が一体となって取り組むことで、社内の機運が高まります。社員参加型の企画は、当事者意識を生み出し、企業の未来を「自分ごと」として捉える良い機会となります。

十分な予算とスケジュールの計画
周年事業は、多大なリソースを要します。余裕を持った準備期間を確保し、適切な予算配分を行うことが、計画を円滑に進める上で不可欠です。不足した予算やタイトなスケジュールは、企画の質を低下させるリスクがあります。

コンテンツ品質
記念動画、ウェブサイト、記念品など、周年事業で制作するすべてのコンテンツの品質は、企業のブランドイメージを左右します。安易な妥協をせず、細部にまでこだわり、企業の「らしさ」が伝わる質の高いコンテンツを制作することが重要です。

適切な外部パートナーの選定
規模や内容などによりますが、自社だけで全ての施策を実行するのは容易なことではありません。外部の専門家や制作会社の力を借りることは、社内の担当者にかかる負荷を削減できる有効な手段です。自社の目的や課題に合ったパートナーを選定することで、専門的なノウハウを活用でき、より質の高い周年事業を実現できます。

周年事業・周年ブランディングの進め方

周年事業の準備は、一般的に1年半から2年前には開始するのが理想的です。以下に、周年事業の進め方をステップごとに解説します。

目的とゴールの設定
プロジェクトの最初に、周年事業の目的と、達成すべきゴールを具体的に設定します。例えば、「顧客とのエンゲージメントを強化する」「社員のモチベーションを向上させる」といった目標を定めます。

スケジュール・予算策定
目的とゴールが定まったら、それを実現するための具体的なスケジュールと予算を策定します。各施策の実施時期や、必要な費用を細かく洗い出し、全体像を把握します。

制作・実施
計画に基づき、各施策の制作と実施を行います。記念誌や動画の制作、特設ウェブサイトの構築、記念品の選定と発注、イベントの企画・運営など、複数のタスクを並行して進めていきます。

振り返り・社内への報告
事業終了後は、振り返りとしてアンケートなどを実施し、効果を検証します。達成度合いや課題点を分析し、その結果を社内に報告することで、今回の経験を次のステップへと活かします。

効率よく成功させるために

周年は、社内外に対して企業価値の再認識や将来的な企業の進化・発展をアピールし、認知や共感を向上する絶好のタイミングです。ジェイスリーは、知見やノウハウを活かし、企業にとって非常に重要な意義を持つ周年ブランディングを成功へ導くご支援を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。