【J3メソッド】周年ブランディング 数十年に一度の機会を「セレモニー」で終わらせない

はじめに
1986年、渋谷の一角でデザイン会社として創業して以来、私たちは「人が、ヒトと、ひとへできることを大切にしていこう」という企業理念のもと、クリエイティブで多くの企業や地域をご支援してきました。 その力を発展させ、現在はブランディングファームとして、ブランドコンサルティングからクリエイティブ、マーケティング、グロースまでバリューチェーンを構築することで、幅広いクライアントのさらなる価値向上をワンストップで支援しています。そんな私たちが、実際にクライアントをご支援するときに行っているブランディングメソッドを、本シリーズを通してご紹介していきます。
周年を単なるセレモニーで終わらせない「3つの視点」
今回のテーマは「周年ブランディング」です。一昔前なら、会社の「周年」といえば「少し豪華なパーティーをする日」くらいのイメージだったかもしれません。しかし、「周年」は単なる時間的な節目ではありません。周年ブランディングの有用性は、「社内」「社外」「事業戦略」の3つの視点から整理できます。
1.社内(インナーブランディング)/組織力の強化
周年事業は、企業内部の結束力を高め、従業員のモチベーションと生産性を向上させる絶好の機会です。
- 企業理念・ビジョンの浸透
- 創業からの歴史や成果を振り返り、企業のDNA(企業文化、理念)がどのように培われてきたかを全社員に共有できます。これにより、組織のアイデンティティへの理解を深め、行動の一貫性が生まれます。
- 従業員エンゲージメントの向上
- 長年の貢献に対する感謝を伝えることで、従業員の帰属意識や愛着が高まります。特に、社員参加型の企画や表彰を行うことで、「自分たちがこの歴史を作ってきた」という誇りが育まれ、モチベーションと定着率の向上に寄与します。
- 組織の一体感醸成
- 部署や世代を超えた交流の場を創出し、チームワークを強化します。これは、新しい発想やイノベーションが生まれやすい風通しの良い企業文化の醸成につながります。
2.社外(アウターブランディング)/ブランド価値の最大化
長期間事業を継続してきた事実は、それ自体が信頼性の証です。周年を機にこの価値を外部に強くアピールできます。
- 顧客ロイヤルティの向上
- 顧客やファンへの感謝の意を表す特別なイベント、限定商品、キャンペーンなどを展開することで、ブランドへの愛着や応援したい気持ちを強化できます。
- 信頼関係の強化と新規顧客獲得
- 企業の歴史や技術力をストーリーとして発信することで、ブランドの信頼性が高まります。また、周年の話題性はメディアの注目を集めやすく、認知度の向上や新規顧客へのアプローチの機会が増加します。
- 市場におけるポジショニング強化
- 周年を機にリブランディングや新しい企業メッセージを打ち出すことで、市場における自社の存在意義や強みを再定義し、競合との差別化を明確に図れます。
3.事業戦略・変革の加速
周年は、過去を振り返るだけでなく、未来の方向性を内外に示す「戦略的転換点」として活用できます。
- 未来ビジョンの発表と浸透
- 経営方針や新しい中期計画、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)やサステナビリティといった現代的なテーマへの取り組みを、全ステークホルダーに向けて発表・浸透させる絶好の機会です。
- 新たな商機の創出
- 周年記念イベントや特設サイトで、新商品・新サービスの発表や、今後の事業戦略に関するセミナーを開催することで、顧客やパートナー企業との新たなビジネスチャンスを生み出すことができます。
- 経営体質の強化
- 周年を「会社を変えるきっかけ」と捉え、長年の慣習や考え方を見直し、新しい企業風土や制度を確立することで、企業の体質を時代に合わせて強化できます。
周年ブランディングの注意点
社内外のステークホルダーに対して、自社のあらゆる価値を訴求できる周年ブランディング。しかし、むやみやたらに施策を打ち出せばいいというものでは、もちろんありません。その有用性を最大限に引き出し、周年を単なるセレモニーで終わらせないためには、以下の3つのポイントに注意しなければいけません。
- 目的の明確化
- 「何のためにやるのか(例:社員の離職率低下、特定の顧客層拡大)」を定量的・定性的に明確にし、ブレのない一貫したメッセージを設計します。
- 継続的な資産化
- 周年で制作した記念誌や動画、特設サイトなどは、周年後も採用活動や社員研修などで継続的に活用し、長期的な企業資産に変えていく計画が必要です。
- 全社的な「共創」
- 経営層から一般社員、そして顧客や取引先まで、可能な限り多くのステークホルダーを企画や実行に巻き込み、「自分ごと」として周年に参画してもらうことが、感情的な結びつきを深める鍵となります。
成功に導くジェイスリーのワンストップ体制
周年ブランディングの成功は、特定の単一サービスに依存するものではなく、戦略、クリエイティブ、マーケティングが有機的に連携した施策をくみ上げられるかどうかにかかっています。ジェイスリーには、統合的なアプローチを提供できる体制が整っています。目的の明確化、記念誌や特設サイトなどの制作、周年施策実施後の分析・改善まで、ワンストップでご支援することが可能です。
ブランドコンサルティング
周年事業の目的やターゲットを明確化し、ブランドの核となる価値観を再定義。未来に向けたビジョンを策定します。
クリエイティブ
周年ロゴや記念誌、特設サイト、記念動画など、戦略に基づいた各種ビジュアル・コンテンツの企画・制作を行います。
マーケティング
SNSキャンペーン、ウェブ広告、メディアへの広報活動を通じて、周年事業のメッセージを広く社会に届け、認知度向上とブランドイメージの浸透を図ります。
グロース
周年事業の効果を定量的に分析し、得られたデータを次なるブランド戦略に活用。周年を起点とした中長期的なブランド成長を支援します。
事例:インナーブランディングを成功させたミヨシ油脂100周年
ミヨシ油脂株式会社と共創した創立100周年記念事業は、インナーブランディングとパーパス(企業の存在価値)の浸透をゴールとした、戦略的な周年ブランディング施策です。同プロジェクトでは、100年の歴史を紐解きつつも、未来志向でコンテンツを構築することです。周年を機に、企業が持つ真の価値を再定義し、社内外に向けて発信することを目指しました。
主な施策は、100周年記念特設サイトと、企業の存在価値を凝縮したパーパスムービーの制作です。コンテンツの核としたのは、ミヨシ油脂の現場とそこで働く人々が持つ「推進力」、すなわち「メーカー力」です。同社独自の価値となる「モノを生み出す『人』と『思い』」に焦点を当て、社風としての「MIYOSHI PRIDE」をフィーチャー。多くの社員の協力のもと、働く姿や想いを映像・記事として可視化しました。
その結果、最大の目標であったインナーブランディングは成功を収めました。社内からは「カッコイイ」「うちの会社じゃないみたい」といったポジティブな声が上がり、社員の企業への帰属意識と誇りが高まりました。ミヨシ油脂の100周年事業は、「社員の意識変革なくして、企業の未来は語れない」という周年ブランディングの核心を体現する、模範的な事例となりました。この成功の背景には、私たちの徹底した共創姿勢と統合的なアプローチがあります。
おわりに
周年ブランディングは、企業の存在意義を再確認し、全てのステークホルダーと共に未来を創り上げていくための、戦略的で創造的なプロセスです。単なるセレモニーではなく未来への「戦略的転換点」とするためには、目的の明確化、施策の継続的な資産化、そして全社的な「共創」が不可欠です。
私たちジェイスリーは、この「戦略」と「共創」を成功の鍵と捉え、貴社のパートナーとして統合的なブランディングを推進してまいります。この機会を最大限に活用し、御社を次の100年へと導く礎を共に築きませんか。ご興味がございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。御社の周年事業の持つポテンシャルを、戦略とクリエイティブの力で最大化します。
2012年よりライターとしてのキャリアをスタート。音楽系フリーペーパーや地域情報サイト、週刊誌、ムック本などさまざまな媒体の制作に携わる。2015年には広告代理店に入社。教育機関のキャッチコピーやタグラインの開発、各種SPツール掲載用のインタビュー記事などを担当する。2023年にジェイスリーに入社。リサーチ力・ヒアリング力をいかし、ブランディング戦略を支援している。
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