【J3メソッド】グループブランディング HD・グループ全体の価値を最大化するために

はじめに

1986年、渋谷の一角でデザイン会社として創業して以来、私たちは「人が、ヒトと、ひとへできることを大切にしていこう」という企業理念のもと、クリエイティブで多くの企業や地域をご支援してきました。 その力を発展させ、現在はブランディングファームとして、ブランドコンサルティングからクリエイティブ、マーケティング、グロースまでバリューチェーンを構築することで、幅広いクライアントのさらなる価値向上をワンストップで支援しています。そんな私たちが、実際にクライアントをご支援するときに行っているブランディングメソッドを、本シリーズを通してご紹介していきます。

グループブランディングとは

近年、複数の事業会社を統括する「ホールディングス・グループ経営モデル」を採用する企業が増加しています。この経営形態において、グループ全体の価値を最大化し、競争力を強化するために、「ブランディング」の重要性が高まっています。

ホールディングス・グループにおけるブランディングの目的は、個々の子会社やそれぞれのブランドが持つ独自性を尊重しつつ、HD・グループ全体としての一体感とブランド価値を醸成することにあります。

この戦略的な取り組みは、HD・グループとしての存在意義を明確にし、「社員のモチベーションを高めるか」「グループの一員である誇りを醸成するか」といった、HD・グループ経営において極めて重要とされる課題に対応するために不可欠です。そのため、HD・グループが主体となり、全体で価値を共創するブランド戦略と実践法に注目が集まっています。

今回は、その要点と実践手法、事例などをご紹介いたします。

グループブランディングの考え方

HD・グループにおけるブランドの階層構造と目的
HD・グループにおけるブランド構造は階層化されています。


• 最上位: HD・グループブランド
• 中間層: コーポレートブランド、事業ブランド
• 最下層: サービス・商品ブランド

さらに、ブランドの階層モデルは主に以下の3つに分類されます。
1. 親子ブランド型: 親会社を前面に出さず、子会社が独立したブランドを展開し、親会社がグループ全体を管理するモデル。
2. コーポレートブランド型: 親会社のブランドを前面に出し、子会社もそのブランド名を使用して展開することで、親会社のブランド価値と影響力を活用するモデル。
3. 混合ブランド型: 親会社のブランドを使用しながらも、子会社や製品が独自のブランド戦略を展開し、両ブランドが共存するモデル。

グループブランディングの目的は、個々の子会社やそれぞれのブランドが持つ独自性を尊重しつつ、HD・グループ全体としての一体感とブランド価値を醸成することにあります。

実践における重要ポイント
グループブランディングを成功させるためには、以下の8つの実践ポイントが重要となります。

Point 1 グループの「ミッション」や「ビジョン」など、核となる「価値」が言語化されているか
Point 2 グループ間のシナジー(協力関係・相乗効果)などが明確になっているか
Point 3 ステークホルダー、特に社会との関係性が明確に示されているか
Point 4 ブランドガイドラインを策定し、グループ内へ浸透されているか
Point 5 ステークホルダーに向けてあらゆる接点で一貫性をもって発信されているか
Point 6 グループの相互理解を促すコンテンツが常に発信されているか
Point 7 HD・グループが主体となってグループ全体でブランド価値を共創できているか
Point 8 グループ間で共感でき、相互理解できる継続的な仕組みづくりが構築されているか

特に、HD経営においては、「社員のモチベーションを高めるか」「HDとグループ各社の対等な関係性を築くか」「グループの一員である誇りを醸成するか」が極めて重要です。

ジェイスリーのHD・グループブランディング「5つの推進ステップ」

ジェイスリーのHD・グループブランディングは、以下の5つのステップで推進します。

 Step 1 ブランドアイデンティティの確立
グループとしての理念(パーパス、MVVなど)を定義し、基本的な価値観と方向性を決定します。

 Step 2 ブランドコンセプトの設定
グループ全体のブランドコンセプトと各社がそれぞれの市場ニーズに応じた独自のコンセプトを設計します。

 Step 3 ブランドストーリーの構築
グループ全体としてのブランド背景や価値観を共感を呼ぶストーリーとしてまとめ、わかりやすく伝えます。

 Step 4 ブランドデザインの統一
グループ全体のイメージを視覚的な表現(ロゴ、カラー、フォント、レイアウト)などのデザイン要素を統一します。

 Step 5 コミュニケーションの継続
設計した要素を、インナー(内部)・アウター(外部)向けのチャネルへ発信。最適なツールとコンテンツを開発、コミュニケーションを継続します。

これらのステップを基本としつつ、HD・グループの状況、ご要望などに応じてプロジェクトを推進します。

事例:MINAMI GROUP株式会社へのグループブランディングご支援

ミナミグループ株式会社のコンセプト策定プロジェクトは、ホールディングスとしての「グループ価値」の最大化を目指し、グループ全体の存在意義、価値、ビジョン、そして社会との関わり方に焦点を当てたグループコンセプトを策定することを目的としました。約4カ月間で実施されたこのプロジェクトでは、傘下の事業会社(アートテクノ、サウステック)のブランドコンセプト策定も同時に実施しました。

アプローチとして、まず経営層がめざす組織像をMVVに関する資料から確認しつつ、MINAMI GROUPおよび子会社の社員を対象にアンケートを実施しました。さらに、計18名のキーパーソンインタビューを実施し、グループおよび各社の強みや組織風土を多角的に分析。その結果、「人」や「絆」を大切にする姿勢、仕事への情熱、「お困りごと」に対応する姿勢、誠実さ、社会貢献性といった共通の価値観を抽出しました。

コンセプトの策定段階では、リサーチデータとインタビューで感じ取った「想い」を、コピーライティング経験を持つ担当コンサルタントが丁寧に言語化。作成されたコンセプト案は、月2回の定例会で徹底的に議論され、特にグループコンセプトは社長への個別ヒアリングを重ねることで確かなものへと昇華しました。最終的に「グループ全体で統一感が生まれた」「みんなが納得したものができた」など、高い評価をいただきました。

おわりに

ホールディングス・グループ経営において、個々の子会社の独自性を尊重しつつ全体の一体感とブランド価値を醸成することは、企業の成長にとって不可欠です。HDが主体となってグループ全体でブランド価値を共創し、継続的な仕組みづくりを確立する(Point 7, 8)ことが重要であり、この戦略的な実践のためには、ブランド体系の分析・整理や独自性探索、ブランド・アイデンティティ構築といった専門的なノウハウが求められます。

弊社は、長年のクリエイティブ経験と実績によって培ったノウハウやメソッドを基礎とし、ブランド戦略策定、ブランドデザイン、そしてマーケティング施策立案といったサービスを通じて、継続的に企業のブランドマネージメントを支援しております。HD・グループ企業の価値最大化を実現するために、ぜひ「価値を共創する」ブランディングパートナーである弊社にご相談ください。

ブランドコンサルタント 宮城宙

2012年よりライターとしてのキャリアをスタート。音楽系フリーペーパーや地域情報サイト、週刊誌、ムック本などさまざまな媒体の制作に携わる。2015年には広告代理店に入社。教育機関のキャッチコピーやタグラインの開発、各種SPツール掲載用のインタビュー記事などを担当する。2023年にジェイスリーに入社。リサーチ力・ヒアリング力をいかし、ブランディング戦略を支援している。

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