戦略的なブランディングに必要不可欠な「ブランドコンセプト」の作り方

「ブランディング」と聞くと、社名や商品名を開発したり、スタイリッシュなロゴを作ったりするなど、ターゲットへリーチするための手法を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?そのようなアウトプットの部分も非常に重要ですが、それと同じくらい大事なブランディングの過程があります。それは、「ブランドコンセプト」の策定です。
ブランドコンセプトとは、そのブランドの核となる価値観のこと。どのような「強み」「らしさ」があり、それをどのように生かすのか。そして、顧客や社会にどのような影響を与えるのか、などを一言集約したものです。
ブランドコンセプトが決まれば、社名や商品名、ロゴの開発はもちろん、あらゆるブランディング施策において一貫性と戦略性を保ちながら、多角的・効果的に展開することができます。
ブランドコンセプト策定までの「3つのステップ」
ブランドコンセプトの策定は、基本的に下記の3つのステップで進めます。
Step 1. 調査
ブランドを展開する市場や、競合他社などの現状および今後についてリサーチします。そのほかにも、該当ブランドに携わるキーパーソンへのアンケートやインタビューを実施し、インサイトを把握します。
Step 2. 分析
「調査」で把握したさまざまな情報を客観的な視点で分析し、ブランドの「強み」や「らしさ」、「めざす未来」などを洗い出していきます。具体的には「3C分析」「PEST分析」などの手法を活用します。
Step 3. 抽出
「調査」「分析」の結果を踏まえ、ブランドの「強み」「らしさ」「めざす未来」などを表現するキーワードを抽出。最終的にブランドコンセプトとして一言集約します。
抽出の段階でワークショップなどを実施すると、社員の合意形成や「目線合わせ」にも効果的です。ワークショップの有用性については、こちらの記事をご参照ください。
一言集約する際の注意点
調査、分析、抽出で得られた数々の情報やキーワードを一言集約すれば、ブランドコンセプトのできあがりです。
このように書くと簡単にできそうに感じるかもしれませんが、実はここからが正念場です。下記のような点に気をつけながら、可能な限り時間をかけて一言集約していきましょう。
オリジナリティを盛り込む
一言集約する際に使用する文言が、「未来」「明日」「世界」「地球」などのスケールが大きい言葉ばかりになってしまうと、どのような企業、商品、サービスでも当てはまる表現になってしまいます。適切な文言を選んだり、組み合わせたりしながら、「らしさ」「強み」を感じられになる表現に仕上げるように意識しましょう。
目標地点を定める
ブランディングプロジェクト自体の最終的なゴールをどこに設けるかも重要です。めざすのは30年後なのか、はたまた100年後なのか。社員に向けるメッセージなのか、顧客や株主を強く意識したものなのか。プロジェクトメンバー全員で焦点を定め、意識しながら整理すると、最終的な目標のイメージを共有しやすいブランドコンセプトを策定することができるでしょう。
ここで避けたいのは、「100年後だから、どんなことでもできるはず」と大風呂敷を広げてしまうことです。未来に向けての目標を込める場合は、「全社一丸となって努力すれば、実現できないことはないはず」という程度のものにとどめておきましょう。
表現より想いを優先する
ブランドコンセプトに一言集約する際、多くの人が陥りがちなのが「キャッチコピー病」です。さまざまな広告で目や耳にする、なんか良い感じで、なぜか覚えてしまうキャッチコピーのようにブランドコンセプトを作ろうとしてしまうのです。
確かに、「なんか良い感じ」で「覚えやすい」ことは大切です。しかし、もっと大切なのは、伝えたいメッセージが込められているかどうか。表現の部分にばかり気を取られてしまうと、肝心の意味が伝わりづらくなることもあります。
まずはプロジェクトチーム内で使用するフレーズとして、端的に整理することをめざしましょう。その結果、「なんか良い感じ」で「覚えやすい」ものが仕上がったなら、そのまま外向けの発信に使用することを検討しても良いでしょう。
「ブランドコンセプト」を策定することで、前述したように「一貫性」と「戦略性」のあるブランディングを展開することが可能になります。その理由については、こちらの記事をご参照ください。
これらは全て、私たちが普段の業務で大切にしているものです。もちろん、すべての企業、商品やサービスにそのまま当てはまるものではありません。
ジェイスリーでは「ブランドコンセプト策定」を含めたブランディングのご支援を行っております。必要性を感じられた皆さま、お気軽にお問い合わせください。
2012年よりライターとしてのキャリアをスタート。音楽系フリーペーパーや地域情報サイト、週刊誌、ムック本などさまざまな媒体の制作に携わる。2015年には広告代理店に入社。教育機関のキャッチコピーやタグラインの開発、各種SPツール掲載用のインタビュー記事などを担当する。2023年にジェイスリーに入社。リサーチ力・ヒアリング力をいかし、ブランディング戦略を支援している。
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