ブランドコンセプトの作り方とは?進め方と注意点

「ブランディング」と聞くと、社名や商品名を開発したり、スタイリッシュなロゴを作ったりするなど、ターゲットへリーチするための手法を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?そのようなアウトプットの部分も非常に重要ですが、それと同じくらい大事なブランディングの過程があります。それは、「ブランドコンセプト」の策定です。
ブランドコンセプトとは、そのブランドの核となる価値観のこと。どのような「強み」「らしさ」があり、それをどのように生かすのか。そして、顧客や社会にどのような影響を与えるのか、などを一言集約したものです。
ブランドコンセプトが決まれば、社名や商品名、ロゴの開発はもちろん、あらゆるブランディング施策において一貫性と戦略性を保ちながら、多角的・効果的に展開することができます。
ブランドコンセプトとは?
ブランドコンセプトとは、そのブランドの核となる「価値観」や「らしさ」を一言に集約したものです。
「自分たちは何者で、どのような強みがあり、社会にどんな価値を提供するのか」というブランドのアイデンティティを定義したものであり、あらゆるビジネス活動の判断基準(旗印)となります。
混同されやすい用語との違いを整理すると、ブランドコンセプトの立ち位置がより明確になります。
パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー(社会・未来視点)
企業が果たすべき使命や、目指すべき未来の姿を指します。「自分たちはどこへ向かうのか」という方向性を示すものです。
ブランドコンセプト(自分たちのアイデンティティ視点)
ブランドの根源的な「らしさ」や提供価値の核を指します。「自分たちは何者か」という独自の存在理由を定義するものです。
キャッチコピー(顧客視点)
顧客の興味を惹き、記憶に残すための広告表現です。「どう伝えれば魅力的に映るか」という外向けのコミュニケーションに特化しています。
ブランドコンセプトが決まることで、これらすべての施策に一貫性と戦略性を持たせることができるようになります。
なぜ今、ブランドコンセプトが必要なのか?
情報が溢れる現代において、ブランドコンセプトが不明確なまま施策を打つと、メッセージが分散し、誰にも刺さらないブランドになってしまいます。策定することで、主に以下のメリットが得られます。
コモディティ化からの脱却と差別化
多くのカテゴリーにおいて技術や品質が平準化し、機能やスペックだけで他社と差別化することが困難になっています(コモディティ化)。 顧客が「どれも同じに見える」と感じる中で選ばれるためには、機能を超えた「情緒的な価値」や「企業としての姿勢」への共感が不可欠です。ブランドコンセプトを明確にすることで、「このブランドだから買いたい」という独自のポジショニングを築くことができます。
激増するタッチポイントにおける「一貫性」の担保
現代のブランド体験は、Webサイト、SNS、広告、店舗、カスタマーサポートなど、無数のタッチポイント(接点)に分散しています。 コンセプトという核がないと、SNSではフレンドリーなのに店舗では事務的といった「イメージのズレ」が生じ、顧客の不信感を招きます。ブランドコンセプトは、あらゆるチャネルで「らしさ」を統一し、ブランド体験を最適化するための強力な接着剤となります。
迅速でブレない意思決定
市場環境が激しく変化する現代では、スピード感のある意思決定が求められます。 ブランドコンセプトは、新商品の開発、キャンペーンの方向性、あるいは不測の事態への対応において、「それは自分たちらしいか?」「コンセプトに沿っているか?」という究極の判断基準になります。社内の目線が揃うことで、迷いや手戻りが減り、戦略的なリソース投下が可能になります。
ブランドコンセプト策定までの「3つのステップ」
ブランドコンセプトの策定は、基本的に下記の3つのステップで進めます。
Step 1. 調査
ブランドを展開する市場や、競合他社などの現状および今後についてリサーチします。そのほかにも、該当ブランドに携わるキーパーソンへのアンケートやインタビューを実施し、インサイトを把握します。
Step 2. 分析
「調査」で把握したさまざまな情報を客観的な視点で分析し、ブランドの「強み」や「らしさ」、「めざす未来」などを洗い出していきます。具体的には「3C分析」「PEST分析」などの手法を活用します。
Step 3. 抽出
「調査」「分析」の結果を踏まえ、ブランドの「強み」「らしさ」「めざす未来」などを表現するキーワードを抽出。最終的にブランドコンセプトとして一言集約します。
抽出の段階でワークショップなどを実施すると、社員の合意形成や「目線合わせ」にも効果的です。ワークショップの有用性については、こちらの記事をご参照ください。
一言集約する際の注意点
調査、分析、抽出で得られた数々の情報やキーワードを一言集約すれば、ブランドコンセプトのできあがりです。
このように書くと簡単にできそうに感じるかもしれませんが、実はここからが正念場です。下記のような点に気をつけながら、可能な限り時間をかけて一言集約していきましょう。
オリジナリティを盛り込む
一言集約する際に使用する文言が、「未来」「明日」「世界」「地球」などのスケールが大きい言葉ばかりになってしまうと、どのような企業、商品、サービスでも当てはまる表現になってしまいます。適切な文言を選んだり、組み合わせたりしながら、「らしさ」「強み」を感じられになる表現に仕上げるように意識しましょう。
目標地点を定める
ブランディングプロジェクト自体の最終的なゴールをどこに設けるかも重要です。めざすのは30年後なのか、はたまた100年後なのか。社員に向けるメッセージなのか、顧客や株主を強く意識したものなのか。プロジェクトメンバー全員で焦点を定め、意識しながら整理すると、最終的な目標のイメージを共有しやすいブランドコンセプトを策定することができるでしょう。
ここで避けたいのは、「100年後だから、どんなことでもできるはず」と大風呂敷を広げてしまうことです。未来に向けての目標を込める場合は、「全社一丸となって努力すれば、実現できないことはないはず」という程度のものにとどめておきましょう。
表現より想いを優先する
ブランドコンセプトに一言集約する際、多くの人が陥りがちなのが「キャッチコピー病」です。さまざまな広告で目や耳にする、なんか良い感じで、なぜか覚えてしまうキャッチコピーのようにブランドコンセプトを作ろうとしてしまうのです。
確かに、「なんか良い感じ」で「覚えやすい」ことは大切です。しかし、もっと大切なのは、伝えたいメッセージが込められているかどうか。表現の部分にばかり気を取られてしまうと、肝心の意味が伝わりづらくなることもあります。
まずはプロジェクトチーム内で使用するフレーズとして、端的に整理することをめざしましょう。その結果、「なんか良い感じ」で「覚えやすい」ものが仕上がったなら、そのまま外向けの発信に使用することを検討しても良いでしょう。
「ブランドコンセプト」を策定することで、前述したように「一貫性」と「戦略性」のあるブランディングを展開することが可能になります。その理由については、こちらの記事をご参照ください。
これらは全て、私たちが普段の業務で大切にしているものです。もちろん、すべての企業、商品やサービスにそのまま当てはまるものではありません。
ジェイスリーでは「ブランドコンセプト策定」を含めたブランディングのご支援を行っております。必要性を感じられた皆さま、お気軽にお問い合わせください。
2012年よりライターとしてのキャリアをスタート。音楽系フリーペーパーや地域情報サイト、週刊誌、ムック本などさまざまな媒体の制作に携わる。2015年には広告代理店に入社。教育機関のキャッチコピーやタグラインの開発、各種SPツール掲載用のインタビュー記事などを担当する。2023年にジェイスリーに入社。リサーチ力・ヒアリング力をいかし、ブランディング戦略を支援している。
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