【J3メソッド】Part.1 企業ブランディング/MI構築編 1

1986年、渋谷の一角でデザイン会社として創業して以来、私たちは「人が、ヒトと、ひとへできることを大切にしていこう」という企業理念のもと、クリエイティブのチカラで多くの企業や地域をご支援してきました。
現在は、ブランディングファームとして幅広いクライアントのさらなる価値向上のお役に立てればと、ブランドコンサルティングからクリエイティブ、マーケティング、グロースまでバリューチェーンを構築することで、ワンストップでサービスを提供しています。
そんな私たちが、実際にクライアントをご支援するときに行っているブランディングメソッドを、本シリーズを通してご紹介していきます。
1回目の今回は、ジェイスリーが企業ブランディングでMI(マインド・アイデンティティ)を構築する方法とワークショップに参加すべき対象者についてご紹介します。
1.概要
一般的にMI(マインド・アイデンティティ)とは、企業など組織の核となる考えや思想を明文化したもので、企業理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、企業の社会的な存在意義を示したパーパスなどがこれに該当します。
MIはその組織の核となる考えであるため、明確化して所属する全員の共通認識とすることで組織に一体感が生まれ、ブランド価値の向上に効果を発揮します。
MI構築とは文字通り、特定の組織の核となる考え方や思想を洗い出して構築(明文化)することであり、企業ブランディングの根幹をなす施策です。
2.基本の流れ
私たちが企業ブランディングでMIを構築する際には、以下のような手順を基本としています。
【リサーチ・分析】
リサーチ・分析は、ブランディングに必要となる材料を揃える「下準備」のような段階です。クライアントが抱える課題や、その背景などをアンケートやインタビューで情報収集するほか、クライアントを取り巻く環境を調査、分析します。この後の行程をより確実に実施できるよう、クライアントの現在地とゴールを明確にしていきます。
【ブランド設計】
下準備が整ったら、ブランド全体の骨格を組み立てる「ブランド設計」に取りかかります。ブランドをどちらの方向性に成長させるかを選ぶために、ワークショップやディスカッションでクライアントの「強み」や「らしさ」を抽出・整理。そこから企業の特徴を表現した、企業理念のベースとなるブランドコンセプトを設定します
【マインド・アイデンティティ開発】
ブランド設計フェーズで設定したブランドコンセプトをもとに、組織の存在意義や姿勢を言語化します。組織内に根付いている意識や今後の理想像を参考にして、MVVやパーパスなど最適な理念体系を検討。インナーとアウターの両面から共感と支持を得られ、組織の価値を高めるブランドのアイデンティティを開発します。
3.ナレッジ紹介
MIは上記のように段階を踏んで構築するのが基本ですが、その中でも私たちが特に注意を払うポイントをご紹介いたします。
私たちがクライアントの「強み」や「らしさ」を抽出する際には、ワークショップを活用することが多いのですがクライアントからよくいただく質問に「ワークショップの参加対象は誰にすべき?」というものがあります。
今回は、この「ワークショップの参加対象者」について説明します。
ワークショップを行う目的によって、ベストな対象者の考え方も変わってくるのですが、
今回はMIを構築するためのワークショップに限定して「参加してもらうべき対象者」を3パターンに分けて紹介します。
1.トップ層
一つめに考えられるのが、社長や役員などの経営に関与するトップ層です。
このタイプは、自社の状況や今後進むべき方向性をよく理解している経営層がMIを考え、そのまま決済できるので、プロジェクトスタートからMIの決定、公開まで短期間で進められるのが最大の特徴です。
そのため、早急に新しい理念を立ち上げなければならない状況の企業や、創業期などで自社のことを理解している社員があまり多くないにおすすめです。
ただ、トップダウンでMIを社員に浸透させていく必要があるので、どのような考えでそのMIの言葉が出来上がったのかという意図を丁寧に説明したり、浸透のためのツールや機会を積極的に設けていくことになるでしょう。
2.選抜メンバー
ワークショップの対象者として二つめに挙げられるのが、企業活動で社員たちの中核となっている役員や中堅社員で構成した選抜メンバーです。各事業や部署から役員・リーダークラス1~2名ずつに集まってもらい、10~20名弱ほどでプロジェクトチームを組織します。社長・経営層の考えや、自社と競合他社の特徴、現場で働く社員たちの実情など、幅広い見識があるためスムーズにワークショップを進めていくことが可能です。また、各部署でワークショップやプロジェクトの情報を発信してもらうことで、その他の社員からの理解や共感を得やすい状態を作ることができます。
そのため、このタイプは社員の理解や協力を得ながら進めていきたい企業におすすめのやり方となっています。ただし、メンバーによるワークショップやディスカッション後に役員決済が必要になるため、スタートからMIの決定、公開まではある程度時間がかかることを前提にプロジェクトを進めていくといいでしょう。
3.全社員
最後の対象者として、全社員で行うことも考えられます。多様性が求められ、さまざまな考え方を持つ社員が一つの組織に集まっていることが多い昨今、多くの視点から意見を募ることで自社の「強み」や「らしさ」を抜け漏れなく抽出することができます。また、自身もワークショップに参加することで完成したMIへの納得感が高まり、MIに基づいた社員一人ひとりの行動も期待できます。
ただし、全社員にワークショップに参加してもらい、その意見をまとめ上げながらMIを構築していくため、従業員数の多い企業の場合にはかなりの時間がかかってしまうことも予想されます。MIの決定、公開までにどれくらいの時間的猶予があるかも踏まえて、ワークショプの参加者を検討するといいでしょう。
4.ケーススタディ
MI構築の他社事例として、タカラベルモント株式会社のプロジェクトをご紹介します。
美容室やクリニックの設備機器を手掛けている同社は、100周年を迎えるにあたり選抜メンバーによってパーパスを策定しています。
次世代を担う20〜50代の社員40名が集い、自社の一世紀の歴史を振り返るプロセスと、現代の社会変化の兆しから未来を洞察するプロセスを経て、未来の社会に向けた想いをパーパスとしてまとめたということです。
プロジェクトのスタートから完了まで、約2年半の時間を要し、パーパス制定に関わった次世代プロジェクトメンバーは一体感やエンゲージメントが向上。パーパスや行動指針に則って自主的に行動できる社員が増加する結果になったとのことです。
5.まとめ
企業など組織の核となる考えや思想を記したMI構築の基本的な流れと、
ワークショップに参加してもらうべき対象者についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか?
企業の状況やプロジェクトの条件によって、選ぶべき対象者が変わってくることがお分かりいただけたかと思います。
プロジェクトをスタートする前に、自社の状況を正しく把握して最適なメンバーとともに、有意義なワークショップを実施してください。
スムーズなプロジェクト運営やワークショップの実施が不安な方は、ぜひお気軽にご相談ください。
経験豊富な弊社メンバーが、企業ブランディングをサポートいたします。
広告制作会社、ブランディングエージェンシーを経てジェイスリーに入社。コピーライター兼ブランドコンサルタントとして、さまざまなBtoB/BtoC企業の各種ブランディング実績を有する。マーケティングリサーチ、CI/VI開発、コンセプトメイク、商品開発、ブランディングに関連する各種クリエイティブのディレクションまで手掛け、一貫したブランディングを支援する。ブランド・マネージャー1級資格取得。
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