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【J3メソッド】企業ブランディング/MI構築編 3

1986年、渋谷の一角でデザイン会社としてスタートした私たちジェイスリーは、「人が、ヒトと、ひとへできることを大切にしていこう」という理念のもと、クリエイティブの力で企業や地域の価値向上を支援してきました。
現在は、ブランディングファームとして、コンサルティングからマーケティング、グロースまでを一貫して提供する体制を整え、クライアントのブランド価値を最大化するお手伝いをしています。
本シリーズでは、私たちが実際に行っているブランディングメソッドをご紹介していきます。今回は、ブランドの核となる「マインド・アイデンティティ(MI)」を構築するために欠かせない、インタビューの役割と進め方についてお話しします。

1. ナレッジ紹介

企業ブランディングの初期フェーズでは、アンケートやインタビューを通じて、組織の価値観や未来像を探っていきます。アンケートは、広く傾向を把握するのに有効ですが、個々人がその価値観に至った背景や体験までは見えてきません。

そこで重要になるのがインタビューです。経営層から現場社員まで、さまざまな立場の人に話を聞くことで、その人ならではの視点や想いを深く掘り下げることができます。こうした声を丁寧に拾い上げることで、より説得力のあるかたちでブランドの価値を言語化することが可能になります。

 

インタビュー実施の3ステップ

インタビューには、「事前準備」、「インタビュー実施」、「インタビュー後の分析」の3つのステップがあります。それぞれの要点や注意点をまとめました。

STEP 1. 事前準備
・質問内容の検討
一人ひとりが考える「企業価値」「意識」「めざす未来」と、そのように考える理由の調査、というのが大きな目的です。それに加えて、聞いておくべきことを検討します。例えば、周年記念の施策を実施する予定があるなら、「過去の周年施策に対して思ったこと」などを具体的に聞いておくことで、施策考案時の大きな手がかりを得ることができます。

・対象者の選定
MI策定に向けて、なるべく多彩な考え方を把握するため、インタビュー対象者を選ぶ際は役職や社歴、所属部署など、さまざまな立場の社員を選びます。

・スケジューリング
インタビューは、実施側と対象者、双方ともに集中力が必要となる作業です。そのため一般的な内容の場合は、実施時間は1人あたり30分〜1時間を目安にします。できるだけ日程をまとめることをめざしながら、1日に実施する人数が多くなりすぎないように調整します。

STEP 2. インタビュー実施
・アイスブレイク
インタビュー対象者から本音を聞き出すためには、「この場所では何でも話してもいいんだ」と感じてもらうための心理的安全性を作る必要があります。インタビュー冒頭では、本編とは直接関係ない話題を提供するなどして、インタビュー対象者の緊張を解きほぐします。

・取材内容の活用方法の説明
インタビュー対象者が、自分の発言がどのように活用されるか理解しきれていないこともあります。インタビュー前後に、今回の取材内容がどこまで開示されるものか、どのような使い方を想定しているかなどを対象者に伝えることで、トラブルを回避できます。音声を録音する場合も、対象者本人に許可を取りましょう。

・傾聴する姿勢
インタビューでは、傾聴と共感の姿勢が重要です。相手の話を遮らず、評価せず、深く聞くことで、より本質的な情報が引き出されます。質問を投げかけた後、対象者が考え込んでしまうことがよくあります。そのような場合でも、焦らず、考える時間を尊重することも必要です。質問は柔軟に対応し、必要に応じて深掘りします。たとえば、「それはどういう意味ですか?」「具体的なエピソードはありますか?」といったフォローアップが有効です。

STEP 3. インタビュー後の分析
収集した情報は、録音やメモをもとに要約し、キーワードや重要なフレーズを抽出します。次に、「価値観」「組織文化」「課題」「期待」などのテーマに分類。複数のインタビュー結果を比較することで、共通点や相違点が見えてきます。

このプロセスを通じて、ブランドの一貫性や、部署・役職ごとの認識の違いを明確にし、MIの策定に活かしていきます。

2. 事例紹介

松田電気工業株式会社/理念再構築のご支援

こちらの記事でもご紹介した松田電気工業様では、全社員アンケートと並行して、プロジェクトメンバーへのインタビューを実施しました。

質問項目は以下のような内容です。

• 現在の理念に対する印象
• 残したいキーワード
• 次代に伝えたい「わが社の良さ」
• 創業以来、引き継がれている価値観 など

このインタビューでは、創業者の人となりや考え方が伝わるエピソードが多く語られ、それらが理念文言の策定に大きなヒントとなりました。

インタビューはプロジェクトメンバー全員に対して実施。お伺いできた内容をテーマごとに分類し、その傾向を踏まえつつ理念を表現する文言を5パターンご提示。提出したある文言に対しては、「思わず創業者の顔が浮かんだ」という感想をいただくことができました。

それらを叩き台としてディスカッションを実施し、表現をブラッシュアップ。最終的に5つの項目にまとめました。

3. まとめ

ブランドの核となる「マインド・アイデンティティ(MI)」の策定において重要なのは、その「ことば」が企業や組織の本質的な価値を捉えられているかどうかです。策定する「ことば」が、企業や組織の持つ「価値」や「めざす未来」を表現しきれていなければ、ブランディングの方向性を指し示すことができません。

インタビューは、企業や組織が持つ「価値」や「めざす未来」について、その中にいる個人と向き合い、それぞれの考えを伝えてもらえる施策です。ブランディングの調査・分析フェーズには必要不可欠である一方で、個人の想いを短時間で引き出すには、それなりのスキルが求められます。

ジェイスリーでは、こうしたインタビューを含む独自のブランディングメソッドを通じて、企業の「らしさ」を引き出し、理念やブランドの再構築を支援しています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

ブランドコンサルタント 宮城宙

2012年よりライターとしてのキャリアをスタート。音楽系フリーペーパーや地域情報サイト、週刊誌、ムック本などさまざまな媒体の制作に携わる。2015年には広告代理店に入社。教育機関のキャッチコピーやタグラインの開発、各種SPツール掲載用のインタビュー記事などを担当する。2023年にジェイスリーに入社。リサーチ力・ヒアリング力をいかし、ブランディング戦略を支援している。

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