事業承継の成功はリブランディング戦略にあり!

事業承継の成功はリブランディング戦略にあり!

本記事では、事業承継を成功させるための取り組みとして、企業の羅針盤としてのパーパスや経営理念をアップデートし、新たな道を切り開くためのリブランディング戦略を紹介します。

1)中小企業の後継者不在は、日本社会の課題

帝国データバンクが2022年に行った『全国「社長年齢」分析調査』によると、全国の社長平均年齢は60.4歳と32年連続で上昇し、過去最高を更新しています。また、経営者の高齢化が進む一方で2022年の同調査では、後継者不在率は2011年以降で初めて60%を下回っている現状があります。日本国内の中小企業において70歳を超える経営者のうち、約半数が後継者が決まっておらず、60歳以上の経営者の半数が廃業を予定しており2020年のデータでは、約5万社が休廃業もしくは解散している現状があります。コロナ禍を機に承継に向き合う経営者が増えたこと、地域金融機関をはじめとする支援機関相談窓口が拡充されたことで、第三者承継やM&A、ファンド経由の経営再建併用の事業承継などが増加したことに起因しています。

2)事業承継のタイミングはピンチではなくチャンス

後継者がいたとしても、多くの経営者が事業承継を積極的に行えない理由として、株式譲渡、経営権、財務的資産などの引き継ぎと同様に、新たなトップに対して社員が「共感」してくれるかを強く懸念しています。ですが企業のトップが代わる時こそ、将来を見据えた企業の方向性を刷新する絶好のチャンスと捉えることが重要です。事業承継は新しい未来を築くためのプロセスであり、このチャンスを活かすことで、ひとりでも多くの「共感者」を増やすことが企業成長につながっていくのです。
では、具体的にどのような取り組みを実行すれば「共感者」を増やすことができるのか、以下に挙げます。

◆企業理念のアップデート
創業時に考えられた企業理念は、時代や思考の変化によって老朽化しているものが少なくありません。また企業理念が存在せず、社内風土や文化として語られていることはあっても明文化されていないケースも多く見受けられます。事業承継のタイミングこそ、新たなトップの「哲学」や「想い」を企業理念として明文化し、発信することで、社内・社外(取引先、求職者)の共感性を高められます。

◆ミッション、ビジョン、バリューの設定
MVVを設定することで、社員が会社の方向性を理解しやすくなり、仕事のしやすさにつながります。自分が「何のために働いているか」、社会に「どのように貢献しているか」を自覚しやすくなり、モチベーションアップに大きく影響します。
ミッション(M):果たすべき使命
ビジョン(V):実現したい未来
バリュー(V):約束する価値、強み

◆コーポレートアイデンティティ(CI)、企業ロゴの刷新
ブランドのロゴ、カラースキーム、スローガンなどのブランドアイデンティティ(らしさ、強み)の要素を再定義することで、ブランドのイメージや認知度向上が図れます。ブランドアイデンティティの変更は、ブランドの新たな方向性や価値を表現できます。

◆社内浸透、外部への発信
新たな企業理念やMVV、CIをどのタイミングでどのようにして社内外に発信するかで効果が大きく異なってきます。
社内外にアンケートやインタビューを実施して反応を把握し、今後の取り組みに反映することも重要となります。

<タイミング>
・全社集会
・**周年イベント
・経営方針の発表
・全社研修の実施

<発進ツール・チャネル>
・ブランドブック
・社内報
・イントラサイト
・会社案内

3)事業承継をリブランディングでチャンスに変えた成功例

「カトープレジャーグループ」ビジョンの言語化が共感を産み、ブランド価値を高める

カトープレジャーグループ採用サイトより

30年以上愛されるうどん専門店「つるとんたん」やスモールラグジュアリーリゾート「ふふ」を筆頭に、レジャー産業において複数のブランド開発に成功しているカトープレジャーグループ(KPG)。父親で創業者の逝去を機に22歳で事業を受け継いだ現トップが初めに着手したのは、尊敬する父が生前に大事にしていた思いや自分自身がどのようにありたいかを整理することでした。総合的なレジャー事業開発の実現を基幹コンセプトとする「KPGコンセプト」と会社全体の心の価値観をまとめた「KPGマインド」に示しています。このビジョンや思いが伝わり、共感されたことで事業を広げることにつながりました。

「中川政七商店」13代目トップが新たなビジョンを掲げ、事業成長を実現

中川政七商店オンラインストアより
国内に約60店舗を展開する生活雑貨ブランド「中川政七商店」は、創業から300年以上事業を続ける老舗企業。13代目がこれまで存在しなかった企業ビジョンを2007年に「日本の工芸を元気にする!」と掲げてから会社は大きく変わったようです。現在は同族経営からシフトし、14代目は一族以外がトップとして就任。さらに新たな事業成長を目指しています。

「ミヨシ油脂」創業100周年に掲げたパーパスでエンゲージメントを高める

「ミヨシ油脂」企業サイト100周年記念より
ミヨシ油脂が創業100周年を機に行ったインナーブランディングを主眼に据えた周年記念プロモーションのジェイスリーでプロデュース。全社員でアピールポイントや強み募集し、その中から100個をピックアップし特設サイトで100日間のカウントで掲載。また新社長を中心に作成したパーパスをムービーとして配信し、社内外のエンゲージメントを高めました。

4)事業承継を成功に導くリブランディングのポイント

リブランディングを成功させるためには、社員の協力無くしてあり得ません。また多くの時間を要するため、プロジェクトを進める過程で、さまざまな問題も発生することが想定されます。困難な状況に陥らないため、新トップには以下のポイントを実践することをおすすめします。

①新トップ自らもプロジェクトに参加し、社内メンバーを巻き込むこと
②新トップは、プロジェクトの目的、想い、重要性を丁寧に納得してもらうまでメンバーに伝えること
③プロジェクトはトップダウン型にせず、メンバーを主役として共創性を重視すること
④プロジェクトのプロセスや進捗を適宜全社に公開し、社員の共感性をより高めること
⑤プロジェクトの目的を常にメンバーと確認し合うこと

最後まで記事を読んでいただき誠にありがとうございました。
ジェイスリーでは、事業承継に悩む経営者をリブランディングで支援しています。
自社の事業を存続させ、継続させていくために課題があるとお感じの際は、ぜひお声をおかけください。

代表取締役社長 足立 功治

1974年島根県生まれ。インフォメーションデザインを主体にキャリアをスタートし、インターネット創成期における大手企業サイトやキャンペーンサイトのプロデュースを数多く手掛ける。現在はBtoB企業やスタートアップ、自治体などの課題をブランディングとDXの知見を活かしコンサルタントとして活動している。2020年 代表取締役社長に就任。

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