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強いブランドを作るポイントと、ブランドコンセプトの作り方を解説

ブランディングパートナーとして多くのクライアントのブランド価値向上を実践してきたジェイスリーには、ブランディングする際に気をつけている重要なポイントがあります。今回は、その重要なポイントと大切にしている理由をご紹介します。

ブランド/ブランディングとは

ブランドとは、その企業や製品・サービスが提供する価値や体験、広告などのコミュニケーションを通して、ステークホルダーの頭の中に蓄積されたイメージのことです。ブランドで想起されるものは、商品名やロゴだけでなく、顧客が感じるブランドへの信頼感や憧れなど感情も含まれます。例えばスターバックスでは顧客体験を重視しており、「サードプレイス(家、学校や職場以外の第三の居場所)」というコンセプトに基づいたブランド戦略をとっています。これにより、スターバックスというと多くの人がコーヒーの味だけでなく、居心地の良い空間や、店員とのコミュニケーションを思い浮かべるでしょう。この頭の中に描かれる一連のイメージこそが、ブランドなのです。

一方ブランディングとは、そのブランド名を聞いたときに頭の中に蓄積されていくイメージがより良いものになるように、ブランドの価値を魅力的に伝える活動のことを指します。これは、単にロゴや広告を作るだけでなく、製品の品質向上や、カスタマーサービスの徹底、SNSでの発信、そして従業員教育など、顧客がブランドに接するあらゆるシーンで、顧客に一貫したブランド価値を伝えられるようにすることです。つまり、ブランドは「結果」であり、ブランディングは「その結果を生み出すためのプロセス」と言えます。強力なブランドは、一貫したブランディング活動によって築かれているのです。

ブランドを伝える要素

顧客にブランドの価値を効果的に浸透させるためには、優れた製品やサービスを提供するだけでは十分ではありません。ブランドの核となる価値観(エッセンス)を、視覚、言語、そして人的な側面から一貫して表現し、統合的なブランドイメージを構築する必要があります。これらの要素は、主に三つのカテゴリーに分類できます。

まず、視覚的な要素です。これは、顧客にブランドの雰囲気を直感的に伝える役割を担います。例えば、ロゴはブランドの「顔」であり、最も重要な視覚的要素の一つです。シンプルで記憶に残りやすく、ブランドの個性を象徴するデザインが理想的です。Appleのリンゴのロゴは、シンプルさと革新性を見事に表現しています。またブランドカラーは、ロゴと合わせてブランドの雰囲気を直感的に伝える役割を担います。色彩にはそれぞれ心理的な効果があり、ブランドが与えたい印象に合わせて慎重に選定することが重要です。青は信頼感や誠実さを、赤は情熱や活力を、緑は自然や安心感を連想させます。これらの色彩を一貫して適用することで、視覚的な識別力が高まり、顧客の記憶に強く定着します。

次に、言語的な要素です。ブランドが顧客に伝えたい中心的な考えや約束を明確化するものです。ブランドメッセージやタグラインは、キャッチコピーやタグラインとして表現されることが多く、短い言葉の中にブランドの理念や価値を凝縮させます。例えば、ナイキの「Just Do It」は、行動することの力強さや、スポーツを通じて限界を超えるというメッセージをシンプルに、かつ力強く伝えています。また、社内外に発信するミッション(使命)、ビジョン(目指す姿)、バリュー(行動指針・価値観)も重要な言語的要素です。これらは、ブランドの存在意義や方向性を明確にし、社員の行動規範となります。

人的要素とは、顧客がブランドと直接接する「人」、すなわち社員や店員の言動を通じて感じるブランドの価値や印象を指します。例えば、小売店や飲食店では、店員の接客態度や発言が顧客に直接的なブランド体験を提供します。BtoBの企業であれば、営業担当者やカスタマーサポートの対応が、ブランドの誠実さやプロフェッショナリズムを伝える鍵となります。この人的な接点こそが、ブランドの価値を具現化する最終的な要素です。

これらの三要素すべてにおいて一貫性が保たれていることこそが、強力なブランドを構築するための要となります。各要素間のイメージが乖離していると、顧客はブランドに対して混乱を抱き、結果として信頼関係の構築が困難になります。そのため、視覚、言語、人的要素が織りなすブランド体験全体を統合的に管理することが、持続的な成長を遂げる上で不可欠となります。

ブランド作りが大切な理由

強力なブランドを確立することは、企業に以下の戦略的なメリットをもたらします。

1. 市場における独自の地位確立
市場には競合他社が溢れ、製品の機能や価格といった機能的価値だけで持続的な差別化を図ることは困難です。しかし、強力なブランドは、製品の品質だけでなく、ブランドが持つ核となる価値観(エッセンス)やストーリーを顧客接点を通じて伝えることで、市場における感情的・象徴的価値に基づいた独自の地位を確立できます。

事例:
エレクトロニクス分野で多くの競合が存在する中で、Sony(ソニー)は、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というパーパスを核に据えています。単なる高性能な製品を販売するのではなく、音響・映像技術の粋を結集した製品群を通じて、顧客の「感動体験(Kando)」を最大化することに焦点を当てています。プレイステーションのようなゲーム事業から、高音質なオーディオ機器まで、全ての顧客接点において「技術と感動の融合」という価値を一貫して提供することで、単なる電機メーカーを超えた、感情的な価値を持つブランドとしての独自の地位を確立しています。

2. 顧客ロイヤリティ(忠誠心)の醸成と最大化
ブランドが顧客にとって「単なる取引の対象」から「共感できる存在」へと昇華したとき、顧客はブランドに対して深い愛着を持つようになります。これにより、短期的な価格変動に影響されにくい強固な関係が構築され、価格競争から解放されます。結果として、リピーターの増加や肯定的な口コミによる新規顧客の獲得といった持続的な成長の好循環が生まれます。

3. 価格決定力の強化
ブランドが顧客にとって特別な感情的価値を持つようになると、提供価格が競合より高く設定されても、顧客にその価値が受け入れられるようになります。これは、ブランドが単なるモノの価値を超越し、所有者のステータスやアイデンティティを形成する役割を果たすため、企業収益の安定と向上に直結します。

4. 組織文化の強化と優秀な人材の獲得(インナーブランディング)
ブランドイメージが確立されている企業は、そのミッションや価値観に共感する優秀な人材を自然と引きつけやすくなります。これにより、採用効率が向上するだけでなく、組織の一体感が高まり、理念に基づいた行動が促進されます。これは、より良い製品やサービスを生み出す永続的な原動力となり、企業の内側から成長を支えます。

ブランド作りの進め方の例

ブランド作りは、一朝一夕にできるものではなく、戦略的な計画と一貫した実行が不可欠です。以下に、一般的なブランド作りの進め方の例を4つのステップでご紹介します。

STEP1:現状分析と目標設定
ブランド作りを始める前に、まず自社の現状を客観的に把握します。自社の強みや弱み、市場での立ち位置、そして競合他社のブランドイメージを徹底的に分析します。これにより、自社がどのようなブランドになりたいのか、どのような顧客に価値を提供したいのかを明確にできます。この段階で、ブランドコンセプトの核となる「誰に、どのような価値を、どのように提供するか」を定義します。

STEP2:ブランドコンセプトの明確化
ステップ1で定義した核をもとに、ブランドが持つべき価値観、理念、そして顧客に与えたい感情を言語化します。例えば、「シンプルで洗練された」「冒険心を刺激する」「温かく家庭的」など、具体的な言葉でブランドの個性を定義します。このコンセプトは、その後のすべてのブランド活動の指針となります。

STEP3:ブランド要素の設計と開発
明確になったブランドコンセプトに基づいて、ロゴ、ブランドカラー、ブランドメッセージなどの要素を設計します。専門のデザイン会社やコピーライターと協力し、コンセプトを視覚的・言語的に表現します。重要なのは、すべての要素が統一感を持ち、一貫したブランドイメージを伝えることです。この段階で、ブランドガイドライン(ブランドブック)を作成し、ブランドのルールを明文化しておくことをお勧めします。

STEP4:ブランドの一貫した運用と浸透
設計したブランド要素を、ウェブサイト、SNS、広告、パッケージ、店舗の内装、そして従業員の接客態度に至るまで、顧客とのすべての接点に一貫して適用します。ブランドは、顧客とのコミュニケーションを通じて成長します。顧客からのフィードバックを収集し、ブランドの改善点を見つけ出すことも重要です。また、社内へのブランド浸透も不可欠です。従業員一人ひとりがブランドの価値を理解し、体現することで、強いブランドは育まれていきます。

これらのステップを繰り返すことで、ブランドは成長し、顧客との間に強固な信頼関係を築くことができます。

ポイントは「一貫性」

上記のように、”ブランドの価値を魅力的に伝えて、頭の中にいいイメージを蓄積させていく”ときにポイントとなるのが「一貫性」です。ブランドとステークホルダーが接触するあらゆる機会において、同じイメージを抱いてもらえるようにコントロールすることが大切になってきます。例えば、トップメッセージと企業スローガンと広告でバラバラなことを言っている企業よりも、統一感のある方が安心感がありませんか?一貫性があることで同じ企業であると認識されやすく、イメージも蓄積しやすくなるので、安心感や信頼性を得やすくなります。

ブランドコンセプト=進むべき方向性

このようにブランドが「一貫性」を保っていく上で重要な役割を果たすのが「ブランドコンセプト」です。ブランドコンセプトとはそのブランドの核であり、進むべき方向性を明文化したもの。ブランドの進むべき方向性を明確にして、ブランド内で共有・理解しておくことで、ブランドの活動や発信に統一感が生まれるのです。ジェイスリーではこのブランドコンセプトを重視していて、ブランディングをご支援する際にはブランドコンセプトを確認・再設定するところからスタートします。

ブランドコンセプトの「3つの価値」

ブランドコンセプトは、①ブランドが顧客に対して提供する「顧客価値」、②ブランドのスタッフや組織風土が持つ「人材価値」、③ブランドが社会に対して提供する「社会価値」の3つで構成されています。

①顧客価値

顧客が競合他社と比較した際に、自社の製品/サービスを選ぶ理由となりうる強みや特徴のこと

②人材価値

社員の能力向上や組織風土醸成のための独自の取り組み、社員の共通する部分、コミュニケーションの取り方など、社員・組織に関する強みや特徴のこと

③社会価値

地域活性化や環境保護など社会貢献活動や、世の中に良い影響を与える社会的な取り組みに見られる強みや特徴のこと

ブランドコンセプトをつくる際は、この3つの価値をもとに自社の「強み」「らしさ」「めざす未来」を込めることで、揺るぎないブランドの核を構築することができます。ブランドコンセプトが明確に定義されることで、企業ブランディング、インナーブランディング、製品・サービスブランディング、採用ブランディングなど、各種ブランディングを行う際にブレのない一貫性を持った展開でき、強いブランドの構築が可能になります。

弊社がブランディングを支援した各企業様でも、ブランドコンセプトをもとに各種ブランディングを展開しています。グローウィン・パートナーズ様ではブランドコンセプトをもとに企業ロゴやコーポレートカラー、コーポレートツールをブランディングしています。その他、筑波大学附属病院総合診療科様では、ブランドコンセプトからWEBサイトやムービー制作を行いました。

貴社のブランディングでは、明確なブランドコンセプトを設定されていますでしょうか?今回ご紹介した内容が、貴社の企業価値を高める参考になると幸いです。ご不明な点がありましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。

ブランドコンサルタント/コピーライター 安藤 慶太

広告制作会社、ブランディングエージェンシーを経てジェイスリーに入社。コピーライター兼ブランドコンサルタントとして、さまざまなBtoB/BtoC企業の各種ブランディング実績を有する。マーケティングリサーチ、CI/VI開発、コンセプトメイク、商品開発、ブランディングに関連する各種クリエイティブのディレクションまで手掛け、一貫したブランディングを支援する。ブランド・マネージャー1級資格取得。

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