「社員の個性」が見えると企業価値が向上する

「どんな人たちと一緒に働くことになるのでしょうか?」
採用面接の場で求職者からよく聞かれる質問のひとつです。これは、求職者が単に企業の業績やビジネス、福利厚生の内容を知りたいだけでなく、実際に働く仲間についても不安を感じているという傾向の現れではないでしょうか。どんな社員がいるのか、その人たちはどんな価値観を持ち、どう仕事に取り組んでいるのかを知ることは、求職者にとって非常に重要な要素です。
そこで、弊社では2023年10月から社員インタビューを「note」で発信し始めました。募集している職種の業務内容を、実際その職種に就いている社員の声で説明してもらいながら、その社員の個性や働き方、キャリア観を通じて、会社のリアルな姿を伝えることを目的にしました。その結果、面接の際に「noteを見ました」と言ってもらう機会が増え、社員の働き方や会社の雰囲気について具体的な質問を受けるようになったことから、求職者が私たちの発信を見て、企業文化や社員の姿を深く理解してくれていることを実感しています。
今回は、これらの変化から感じた社員インタビューや情報発信の有用性と、逆に消極的になってしまった場合のリスクについて見ていきましょう。
社員の個性が企業ブランドをつくる
社員の個性は、企業ブランドの中核を担っています。企業のビジョンや価値観は、日々の業務を通じて社員一人ひとりが体現しています。その個性を外部に発信することは、企業の魅力を高め、ブランド価値を向上させるために非常に重要です。
たとえば、社員が仕事に取り組む姿勢やキャリアへの考え方を発信することで、求職者や顧客はその企業がどのような人材を大切にしているのか、どのような文化があるのかを具体的にイメージできるようになります。社員インタビューや発信を通じて「この企業で働きたい」「この会社と取引したい」と思わせることができれば、企業価値は大きく向上します。
一方で、これを行わないと、企業の「無個性化」が進んでしまい、どの企業も同じように見え、競争力を失うリスクが高まります。特に、求職者や顧客が情報を簡単に比較できる現代において、個性を発信しない企業は埋もれてしまう可能性があります。
透明性が不足すると信頼を失うリスク
社員による情報発信は、企業の透明性を高め、信頼を築く重要な手段です。消費者や求職者は、企業がどのように社員を扱っているのか、内部の文化がどのようなものかを知りたいと考えています。社員が自らの経験や日常を発信することで、企業の透明性が増し、外部からの信頼が生まれます。
逆に、社員の声が全く発信されない場合、企業の内部が見えにくくなりブラックボックス化してしまう可能性があります。求職者や顧客は、企業の内部事情や働く環境が不透明だと感じると、不安や疑念を抱き、結果としてその企業に対する信頼感が低下します。これにより、優秀な人材を逃し、顧客からの支持も失うリスクが高まります。
人材の採用や定着率に悪影響が出る
社員インタビューや情報発信を行うことで、求職者は企業の内部を知り、入社後のミスマッチを防ぐことができます。実際に「どんな人と働くのか?」という不安が解消されると、求職者はより自信を持って応募し、企業に対する期待感が高まります。その結果、優秀な人材が集まりやすくなり、採用プロセスがスムーズになります。
一方、情報発信を怠ると、求職者は「働くイメージが持てない」という問題に直面し、応募をためらう可能性があります。これにより、採用の機会を逃し、さらに入社後のギャップが大きくなるため、早期離職のリスクも高まります。結果的に、企業は人材の定着率を低下させ、長期的な成長に悪影響を与えることになりかねません。
また、情報発信をしていたとしても内容や発信先などを継続的に改善していくことも重要です。弊社でも、中途で入社した社員に「外から見たジェイスリーはどんな風に見えたか?」を質問してみると、(他社に比べて)社内の様子が見えにくい印象があったというコメントをもらったこともあります。
社内のエンゲージメントが低下する
社員が自らの仕事やキャリアを発信することは、自己肯定感やモチベーションを高める効果があります。また、社員同士が互いの働き方や価値観を知ることで、社内のコミュニケーションが活性化し、組織全体のエンゲージメントが向上します。
しかし、情報発信を行わない企業では、社員が自分の働きが外部に認知されず、自己評価の低下につながることがあります。さらに、社内の他部門とのつながりも薄れ、孤立感が生まれやすくなります。こうした状況では、組織全体の一体感やモチベーションが低下し、パフォーマンスにも影響が出る可能性があります。
弊社の場合、インタビューに協力してくれた社員からは、事前に話すことを考えることで自分の頭の中の整理にもなり、改めて仕事観を言語化するいい機会になったという感想をもらっています。
社員インタビューや社員による情報発信は、企業のブランド価値や信頼性、透明性を向上させるだけでなく、優秀な人材を引き寄せ、社内のエンゲージメントを高める重要な手段です。これを怠ることで、企業は無個性化し、透明性を失い、結果として信頼や競争力を低下させるリスクにさらされます。今後のビジネス環境において、企業が持続的に成長していくためには、社員の個性を積極的に発信し、企業価値を高めることが不可欠だと考えます。
ジェイスリーでは、企業の採用活動をサポートするサービスメニューをそろえており、御社に適した採用ブランディングのご提案からコンテンツ制作・運用まで対応しています。社員インタビューの方法やまとめ方、アウトプット形式などにもそれぞれにいくつかのスタイルがあり、目的や内容によって適切なものを選ぶことが望まれます。まずはお気軽にご相談ください。
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1998年よりカタログやSPツール制作中心の制作会社にてデザイナーとしてのキャリアをスタート、2000年にジェイスリー入社後本格的にエディトリアルデザインの業務にどっぷり浸かり、多数の月刊誌、旅行系雑誌やムックのアートディレクターを歴任。現在の活動は、WEBメディアの企画や制作ディレクション、インナーブランディングのコンサルなど、クライアントの課題解決のための改善提案立案およびコンサルテーション業務まで多岐にわたる。座右の銘は「自分の感受性くらい、自分で守ればかものよ」
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