- Comments From Our Clients
- MINAMI GROUP株式会社
胸に秘めた「共通の想い」を引き出し、言語化する
持株会社化に伴うグループ&ブランドコンセプト策定までの軌跡
プロジェクトの背景と
ご相談の経緯
MINAMI GROUP株式会社は、鉄道や産業用車両の艤装(組立)工事を行うアートテクノ株式会社、橋梁の塗装を手掛けるサウステック株式会社、外国人技能実習生受入事業を担うアイエム協同組合という3つの事業会社の経営管理を行っています。
ホールディングス化が完了したのは2023年。法的な実務手続きが一段落したタイミングで、経営陣が対峙したのが「グループ全体のブランディングをどう推し進めるか」という大きなテーマでした。
今回ご紹介するプロジェクトが始動するきっかけとなったのは、タナベコンサルティングが主催する「ホールディングス・グループ経営モデル研究会」でした。そのプログラムの一つとして、株式会社ジェイスリー(以下、ジェイスリー)代表の足立が登壇し、グループブランディングの考え方や事例について行った講義に、MINAMI GROUPの喜多社長が参加されていたのです。
■お話を伺った方々■
MINAMI GROUP株式会社 代表取締役社長 喜多秀和様
MINAMI GROUP株式会社 取締役 羽田野恭司様
アートテクノ株式会社 代表取締役 南豪様
サウステック株式会社 代表取締役 木下一光様
アイエム協同組合 代表理事 加藤良行様
まず、今回のプロジェクトをジェイスリーにご依頼いただいた最初の経緯について教えてください。
<喜多>
タナベコンサルティングさんの「ホールディングス・グループ経営モデル研究会」というプログラムに参加した際、ジェイスリーの足立社長による講義でグループ経営におけるブランディングの考え方や事例を聞いたのがきっかけでした。講義のあとに色々と問い合わせをさせていただきました。
講演を聞かれて、特に「詳しく話を聞いてみたい」と思われたポイントはどこだったのでしょうか?
<喜多>
それまでは、企業サイトを自分たちの思うままに作り、内容に関しても自分たちで考えた言葉を載せるというやり方でした。しかし、ホールディングス化を進める中で、「グループ全体の価値」をどう見せるべきか、第三者には弊社の「価値」をどこに感じてもらえるのか、それを言語化・表現してもらうとどうなるのか…など、企業サイトを制作するだけでなく、その手前の段階について検討しなければならないと思っていたことが大きかったですね。タナベコンサルティングさんのグループ会社でもあるジェイスリーさんなら安心して相談できると思い、お声がけしたという流れです。
現場の職人・社員を
巻き込んだリサーチ調査
全9回の定例会を主軸とした本プロジェクトが本格始動したのは、2025年7月10日。ジェイスリーが提案したアプローチは、営層だけで言葉を決めるトップダウン方式ではなく、グループ内で働く社員の「生の声」を可能な限り集め、価値を抽出するボトムアップ型のプロセスでした。
プロジェクト初期には、各事業会社の代表へのヒアリングに加え、各事業会社から選出された社員への個別インタビュー、全社員アンケートを実施。しかし、プロジェクト開始当初、各事業会社の代表を中心とするプロジェクトメンバーには戸惑いや不安も少なくありませんでした。
プロジェクトが始まると聞いた時、率直にどう感じられましたか?
<南>
正直に言うと、ブランディングに必要性を感じていなかったので、喜多から「やるぞ」と言われたから参加したという感じでした。でも、第三者の視点でアートテクノを見てもらった結果、「自分たちはこういう会社なんだ」「自分はこんなにも強い思いを持っていたんだ」と気づかされる素晴らしい機会になりました。
<木下>
「なにをするんだろう?本当に必要なのか?」というのが、当初の率直な感想でした。策定するという「ブランドコンセプト」を活用する具体的なイメージが湧いていなかったんです。それに、うちは職人気質で寡黙なメンバーが集まっている製造・塗装の会社です。「ブランディングに関するアンケートなんて答えてくれるのかな」と少し不安に思っていました。でも実際やってみると、みんなすごく真剣に考えて、しっかり答えてくれたんです。アンケートを通じて、みんなが自社のことをこんなに考えてくれているんだと感動しました。
<羽田野>
当初は社員全員の声を聞いて、果たして一つの形にまとまりきるのだろうかという不安がありました。実際に、定例会では社員たちが「この言葉は違うと思う」と議論をかき混ぜる場面もありましたから(笑)。でも、ジェイスリーさんがしっかりとディレクションしてくださり、みんなが腑に落ちる形へまとめていただきました。その過程は大変でしたが、本当に楽しかったです。
<加藤>
今の時代、アイエム協同組合のような外国人材受入支援を担う非営利団体であっても、情報発信は必要だと頭では理解してはいます。けれども、何をどう発信していいか分からないという状況を抱えていました。弊社も参加したアンケートには、社員の素直な思いを確認できたのが良かったです。自分たちの価値を可視化していく上で非常に意義深い取り組みだと感じていました。
DNAの発見と
「戸田イズム」の言語化
アンケートやインタビューの分析を進める中で、ジェイスリーのプロジェクトチームは、グループ各社における共通点を見出しました。それは、事業内容や職種が全く異なる各社において、無意識のうちに共通の価値観――「人を大切にする」「人と人との絆や繋がりを尊重する」という強い精神が根付いていることでした。
この共通項の背景には、MINAMI GROUPの前身である「南組」の時代から脈々と受け継がれてきた戸田会長の精神が存在していました。あえて口に出さずとも、全員がブレずに持っていた本質的な思いが、第三者のインタビューによって鮮明な言葉として浮かび上がってきたのです。
インタビューやアンケートを通じて、グループ共通の価値観が浮き彫りになっていきましたね。
<南>
私たちが無意識・意識的に発信してきた「人を大切にする」という思いを、社員のみんなもしっかり感じてくれていたことが一番嬉しかったですね。普段、代表同士で「僕たちは人を大事にしているよね」なんて言葉に出して言わないじゃないですか。でも、全社的にもベースとして確実に存在していた。それがインタビューを通じて共有言語化された感覚です。
<加藤>
MINAMI GROUPにとっては、前身となる「南組」時代の社長である戸田という人物の存在が非常に大きくて、みんなの中に「戸田イズム」のような感覚が根付いています。そこに共感した人が集まり、同じ思いで事業を行ってきた歴史があります。そのブレない本質的な思いを喜多がしっかりと引き継ぎ、ジェイスリーさんとの関わりの中で良い部分をうまく引き出してもらえる環境が整ったと感じています。
<木下>
ものづくりの現場において、人は一番大切な存在です。アンケートを通じて社員たちも同じ思いを持っていると再確認できました。自分たちの考えが間違っていなかったという大きな自信になりましたね。
コンセプトの
決定に向けた
熱い議論と葛藤
集まった膨大な言葉の断片をもとに、グループコンセプトおよび各事業会社のブランドコンセプトを紡ぎ出す作業が行われました。言葉のニュアンスや表現を巡っては、経営陣から熱いこだわりやフィードバックが寄せられ、ミーティングでは妥協のない議論が繰り広げられました。
サウステックの木下代表は「仏を作ってもらっても、最後に魂を込めるのは自分」という美学から、語尾や英語表現の端々にまで徹底的にこだわりました。また、アートテクノの南代表も「自分たちが向き合っているのは目の前の作業だけでなく、その奥に広がる人々の生活や人生だ」という想いを込めるため試行錯誤を重ねました。
それぞれのコンセプトが決定した時の感想や、言葉に込めた思いをお聞かせください。
<南>
大変迷いましたが、最終的には腹を括って選びました。最初は「少し格好良く作りすぎたかな」とも思いました。でも、私たちが伝えたかった「目の前の物ではなく、その奥にある人の生活(Life)や人生を彩っているんだ」という本質を、「Life」と「Art」という言葉で表現できたことに、とても納得しています。今は本当に良い言葉に仕上がったと思っています。
<木下>
最初、この「Blast the Rust」案が出てきた時は、普段の業務で行う「ブラスト」や「塗装」をそのまんま表現しているように感じて「やけになっているんじゃないか?」と一瞬思いました(笑)。でも、何度も見ているうちにジワジワと気に入ってきました。日本語表記の意訳では、仕事内容だけでなく「現状打破」という意味合いも込められていることにも納得感を覚えましたね。英語のほうがメインコピーとなっている点も、他の2社と差別化できていて良いと思っています。
<喜多>
グループコンセプトの英語部分「Human Synergy」という表現は、英語と日本語のニュアンスを含めて最後まで何回も調整していただきましたね。ホールディングス会社としてのコンセプトは、どうしても少し曖昧な印象になりがちですが、まずはグループの指針となる素晴らしい軸が完成しました。これをベースに、今後の企業サイトや各種発信に活かしていきたいと考えています。
ジェイスリーへの評価
コンセプト策定のプロジェクトが終了したのは、2025年10月24日。約4ヶ月間を振り返り、参加者全員に評価いただいたのが、ジェイスリーによる進行管理とファシリテーションの質の高さでした。熱量の高いメンバーから多様な意見が飛び出す中で、議論を否定することなく、かつ脱線させずに着地点へと導くノウハウに対し、深い信頼が寄せられました。
ジェイスリーのプロジェクト進行やファシリテーションはいかがでしたか?
<木下>
僕はこだわりが強い人間なので、言葉尻を捉えては「こうじゃないか」と何度も意見させていただきました。それに対してご意見を返していただき…というふうに、本当に根気強くお付き合いいただいたことには、感謝しかありません。
<羽田野>
進行の途中で、参加者が「この言葉は違う」と、もう一度議論をかき混ぜる作業があった際、ジェイスリー宮城さんが「それってこういうことですか?」と事前に言葉で確認しながら、いたずらに枝を広げないように管理されていました。次に提案される時には見事にまとまっている。あの言葉の整理手法には感心させられました。
<南>
自分たちの思いを引き出す取材力、それを綺麗な文章に仕立てる構成力、そして決めた期間通りに必ず形にする進行管理。どれをとっても完全なプロの仕事でした。自分たちだけで時間と手間をかけて作ろうとするより、プロの力を借りる方がスピードも仕上がりのクオリティも段違いです。これからホールディングス経営を進めていく上でも、プロのサポートを受けることの重要性を学べた、本当に貴重な期間でした。
言葉という「確固たる軸」を得て、次なるステージへ
自社の歴史と現場の想いを掘り起こして紡ぎ出された、グループならびに各事業会社のブランドコンセプト。言葉という確固たる軸を手に入れたMINAMI GROUP様は、この理念をWebサイトや採用ツールの制作、そして社員の意識へと落とし込む次なる実践フェーズへと進んでいきます。
(後編へつづく)
ジェイスリー担当者の
「思い」
より良いコンセプトを策定するためには、社員の皆さまが普段から考える「自社らしさ」や「めざす組織像」について、なるべく多様な意見を伺うことが必須です。本プロジェクトでは、推進メンバーのみならず、全社員アンケートに加えて各事業会社の社員インタビューも実施しました。
その過程で得られた価値観を各社のコンセプトとして表現することに大きな責任を感じておりましたが、「目の前の人に向かい合う」というMINAMI GROUP全体で共有されている価値観に真摯に向き合い、各社の特長を踏まえながらご納得いただけるかたちで言語化できたことを、大変嬉しく思っております。
コンセプトは策定して終わりではありません。重要なのは、発信し、浸透させ続けることです。本インタビュー後編では、その浸透プロセスについてもご紹介します。
-
Service
関連するサービス -